秘密の地図を描こう

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「……で?」
 あきれたようにミゲルが問いかけてくる。
「あんなことを言うつもりはなかったのに……」
 どうして、自分は……とアスランは呟く。
「ただ、俺はあいつらに安全な場所にいてほしかっただけなのに」
 それなのに、どうして……と彼は続けた。
「だが、今回のことは彼らが決めたことだろう? 事前にその可能性はわかっていたことじゃないか」
 あの二人の性格を考えれば、とミゲルはさらに言い返してくる。
「しかし……」
 俺は、とアスランはまだ言い返そうと口を開きかけた。
「そんなことを考えているから、馬鹿馬鹿しい失敗をするんですよ」
 背後からできれば今聞きたくないと思っていた声が響いてくる。
「早かったな、ニコル」
 どうやらミゲルは彼が来ることを知っていたらしい。何でもないという表情で言葉をかけている。
「僕だけ先に来ましたから。新型のテストもありますし」
 にこやかな表情でニコルはそう言い返してきた。
「新型?」
「ザクの後継機ですよ」
 とりあえず、宇宙でのテストは終了している。だから、後は地球上でのテストだけだ、と彼は説明した。
「しかし、本当に馬鹿ですね、あなたは」
 好きだからいじめるの範疇を超えているではないか、とニコルは矛先をアスランへと向けてくる。
「キラに見捨てられても仕方がありませんね」
 さらに彼はそう続けた。
「あぁ。可能性はあるな」
 それにミゲルも同意をする。
「……お前たち……」
 人に追い打ちをかけて楽しいのか、とアスランは目をすがめた。
「忘れないでください。イザーク達はともかく、僕たちはキラの味方です」
 無条件で彼を守るから、とニコルは言う。
「まぁ、そう言うことだ」
 ミゲルもそう言ってうなずく。
「俺たちはずっとあいつを守ってきたしな」
 彼はそう言って笑った。
「……俺だって、できるものならそうしたかったさ」
 そうできていれば、キラを傷つけることはなかったのではないか。
「でも、アスランはカガリさんを選ばれたのですよね?」
 少なくとも、自分はそう認識しているが……とニコルが聞き返してくる。
「今回のことで見限られたかもしれないがな」
 それ以前に、そういう関係だったのかどうか。一番近いのは、キラを守る同士みたいなものだったし。そう続ける。
「あいつが傷つけばキラが悲しむ。そう考えていた気持ちがなかったとは言い切れない」
 確かに惹かれたことは惹かれたが、と続けた。
「そういう中途半端な気持ちだったからいけないんじゃないのか?」
 ミゲルが真顔でそう問いかけてくる。
「曖昧な関係だから相手を傷つける。そう言うこともあると思うぞ、俺は」
 妙に説得力があると思うのは錯覚ではないだろう。
「実体験ですか?」
 ニコルがさりげなく問いかけていた。
「突っ込むな、そのあたりは」
 ため息とともにミゲルは言い返す。
「どちらにしろ、お前が本当に守りたい相手は誰か。そろそろ自覚しろ」
 ただし、どちらにしろ、相手に嫌われる可能性はあるがな、とからかうようにミゲルは続けた。
「そうですね。どちらを選ぶにしろ、選ばれた方に嫌われかねないですね」
 にっこりと微笑みながらニコルもうなずく。
「まぁ、かまわないんじゃないのか? 今回のでしっかりと嫌われていそうだし」
 だから、そこで追い打ちをかけてくれるな。ミゲルだけでもきついのに、ニコルもか……と頭を抱えたくなるアスランだった。

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最遊釈厄伝